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All-on-4の費用は?デメリット・寿命・後悔しない選び方

All-on-4の費用は?デメリット・寿命・後悔しない選び方

多くの歯を失った方や総入れ歯に不満を感じている方にとって、All-on-4(オールオンフォー)は有力な選択肢です。片顎あたり最少4本のインプラントで10〜12本分の人工歯を支え、手術当日に仮歯を装着できるのが特徴で、費用相場は片顎200万〜350万円です。本記事では、費用の内訳・素材別の料金差・デメリット・寿命に加え、「後悔・失敗の原因」「安すぎる価格の注意点」「後悔しない医院選び」まで解説します。

この記事で分かること

  • All-on-4の仕組みと従来インプラントとの違い
  • 費用相場・費用の内訳・素材別の料金比較
  • メリット・デメリットと「受けられない人」の条件
  • 寿命・保証・後悔しないための医院選び
  • 医療費控除やデンタルローンで負担を抑える方法

All-on-4とは? ― コンセプトと従来のインプラントとの違い

All-on-4の基本的な仕組み

All-on-4(オールオンフォー)は、ポルトガルの歯科医師パウロ・マロ博士が1990年代に開発した、無歯顎(むしがく:すべての歯を失った状態)や多数歯欠損に対応するインプラント治療法です。

片顎(上顎もしくは下顎)に対して4本のインプラント体を埋入し、その上に**連結型の人工歯(ブリッジタイプの上部構造)**を固定します。奥歯側の2本のインプラントを骨の厚い部分に向けて斜めに傾斜させて埋入することで、少ない本数でも広い範囲の人工歯を安定して支える構造を実現しています。

All-on-4の仕組みと従来インプラント(8〜14本)との本数・埋入角度の比較図

従来のインプラント治療との違い

従来の全顎インプラント治療では、片顎あたり8〜14本のインプラント体を1本ずつ埋入し、個別の被せ物を装着していました。All-on-4との主な違いは以下のとおりです。

  • インプラントの本数:従来法は8〜14本 → All-on-4は4〜6本
  • 手術回数と侵襲:従来法は複数回の手術が必要な場合がある → All-on-4は原則1回の手術で完了
  • 仮歯の装着時期:従来法は骨結合を待ってから数か月後 → All-on-4は手術当日(即時荷重)
  • 骨造成の要否:従来法は骨量不足で骨造成が必要になりやすい → All-on-4は斜め埋入により骨造成を回避できるケースが多い

All-on-4は「少ないインプラントで効率よく全顎を回復する」という設計思想に基づいた治療法です。骨がやせている場合の骨造成そのものについては「インプラントの骨造成(骨を増やす手術)とは」で詳しく解説しています。


All-on-4の5つのメリット

メリット1:インプラントの本数が少なく、身体的負担が軽い

All-on-4は片顎4〜6本のインプラントで全ての歯を支えます。従来の全顎インプラント(8〜14本)と比較して、埋入本数が大幅に少なくなるため、手術時間が短く、術後の腫れや痛みも抑えられる傾向があります。手術は片顎あたり約1〜2時間で完了するのが一般的です。

メリット2:手術当日に仮歯が入る(即時荷重)

All-on-4の最大の特徴の一つが、手術当日に固定式の仮歯を装着できる点です。これを「即時荷重(そくじかじゅう)」と呼びます。

通常のインプラント治療では、インプラント体と骨が結合するまで2〜6か月の待機期間が必要です。All-on-4では、4本のインプラントに力を分散させる設計のため、埋入直後から仮歯を固定できるケースが多くあります。手術当日の夕方にはご自身の歯で食事ができるケースも少なくありません。

メリット3:骨造成が不要なケースが多い

歯を失ってから時間が経つと、顎の骨(歯槽骨)が徐々にやせてきます。従来のインプラント治療では、骨量不足の場合に骨造成(骨を増やす処置)が必要でした。

All-on-4では、奥歯側のインプラントを骨の厚みが残っている部分に向けて斜めに埋入するため、骨がやせている方でも骨造成なしで治療できるケースが多くあります。骨造成を回避できれば、追加の手術や治療期間の延長を防げます。

メリット4:治療期間が短い

All-on-4の治療期間は、仮歯の装着まで含めると最短1日、最終的な上部構造(本歯)の装着までで3〜6か月が一般的です。

従来の全顎インプラント治療では、骨造成を含めると1〜2年かかるケースもありました。All-on-4は骨造成の回避と即時荷重により、治療全体の期間を大幅に短縮できます。

治療期間の詳細は「インプラントの治療期間と流れ」でも解説しています。

メリット5:従来の全顎インプラントより費用を抑えられる

インプラントの本数が少ないため、従来の全顎インプラント治療と比較してトータル費用を抑えられる傾向があります。詳しい費用比較は次章で解説します。


All-on-4の4つのデメリット・注意点

All-on-4には多くのメリットがありますが、治療を検討する際に把握しておくべきデメリットや注意点もあります。良い面だけでなくリスクも含めて理解したうえで判断することが大切です。

デメリット1:残っている天然歯を抜歯する場合がある

All-on-4は「片顎すべての歯を人工歯に置き換える」治療です。そのため、まだ残せる可能性のある天然歯も抜歯が必要になるケースがあります。

残存歯の状態が比較的良好な場合、All-on-4よりも残せる歯を活かした部分的なインプラント治療のほうが適しているケースもあります。どちらが最善かは、CT検査と歯科医師の総合的な判断が必要です。判断に迷う場合は複数の医院の意見を聞く「セカンドオピニオン」も有効です。

デメリット2:高度な技術と設備が求められる

All-on-4は、インプラントの角度や位置を精密に計算して埋入する技術が求められる治療法です。事前のCTデータをもとにしたサージカルガイド(コンピューターで設計した手術用テンプレート)の使用や、即時荷重に対応した仮歯の即日製作体制が必要です。

歯科医師にはAll-on-4の専門的なトレーニングと十分な症例経験が求められ、すべてのインプラント対応医院で実施できるわけではありません。

デメリット3:対応している歯科医院が限られる

上記の技術的要件から、All-on-4を実施できる歯科医院は限られています。特に地方では対応医院が少なく、通院に時間がかかる場合があります。

クリニックを選ぶ際は、All-on-4の年間症例数歯科医師の専門資格を確認することが大切です。歯科医院の選び方については「インプラント歯科の選び方ガイド」も参考にしてください。

デメリット4:治療後もメンテナンスが欠かせない

All-on-4はインプラント治療の一種であるため、治療完了後も定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎(インプラント周りの歯茎や骨が炎症を起こす病気)のリスクが高まります。

一般的に、3〜6か月ごとの定期検診と専門的なクリーニングが推奨されています。天然歯と異なり、インプラントには歯根膜(歯と骨をつなぐクッションの役割を持つ組織)がないため、細菌感染が進行しやすい特性があります。インプラント周囲炎の症状や予防については「インプラント周囲炎とは?症状・予防・治療」で詳しく解説しています。


All-on-4の費用相場と内訳

All-on-4は自由診療(公的医療保険が適用されない治療)のため、費用はクリニックによって異なります。以下に費用の目安をまとめます。

All-on-4の費用テーブル(片顎・両顎)

治療範囲費用相場(税込)含まれる主な内容
片顎(上顎または下顎)200万〜350万円CT検査・手術費・インプラント体4〜6本・仮歯・最終上部構造
両顎(上下顎とも)400万〜600万円上記を上下顎分

All-on-4と総入れ歯・従来インプラント・オーバーデンチャーの費用相場比較グラフ

費用の内訳 ― 総額は何にかかっているのか

「片顎200万〜350万円」という総額が、具体的に何にかかっているのかを分解すると、費用の妥当性を判断しやすくなります。下表は片顎あたりの費用内訳の目安です(クリニックにより項目の含み方が異なります)。

費用項目費用目安(片顎)内容
精密検査(CT撮影・診断)3万〜7万円顎の骨の三次元評価。無料としている医院もある
治療計画・サージカルガイド設計5万〜15万円CTデータをもとにした埋入シミュレーション
手術費(抜歯・埋入)40万〜80万円麻酔・埋入手技を含む
インプラント体 4〜6本60万〜120万円使用メーカーにより変動
仮歯(即時荷重用)15万〜30万円手術当日に装着する固定式の仮歯
最終上部構造(本歯)60万〜120万円素材により大きく変動(後述)
メンテナンス費(年間)1万〜5万円治療後の定期検診・クリーニング

上記はあくまで一般的なレンジの目安です。同じ「片顎250万円」でも、内訳を確認すると使用するインプラントメーカーや上部構造の素材が異なることがあります。総額だけでなく内訳を提示してもらい、複数の医院で見積もりを比較することが、費用面で後悔しないための第一歩です。

上部構造(本歯)の素材別の料金比較

All-on-4の費用は、最終的にかぶせる上部構造の素材によって大きく変わります。素材は耐久性・見た目・変色のしにくさ・費用のバランスで選択します。代表的な3種類を比較します。

素材費用目安(片顎の上部構造分)耐久性見た目・変色
アクリルレジン(プラスチック系)比較的安価すり減りや破損が起きやすい経年で変色・着色しやすい
ハイブリッドセラミック(レジン+セラミック)中程度レジンより高いレジンより変色しにくい
ジルコニア(オールセラミック系)高価高く割れにくい透明感があり変色しにくい

安さを重視してアクリルレジンを選ぶと、初期費用は抑えられますが、すり減りや変色で数年後に作り替えが必要になり、結果的に総額が高くなるケースもあります。長期的な費用と満足度のバランスで素材を選ぶことが大切です。ジルコニアの特徴やメリット・デメリットは「ジルコニアインプラントとは?特徴と費用」で詳しく解説しています。

費用に影響する変動要因

同じAll-on-4でも、以下の要因で費用は上下します。見積もりを比較するときは、これらの条件をそろえて比べることが重要です。

  • 使用インプラントメーカー:世界的な実績のあるメーカーは価格が高い傾向
  • 上部構造の素材:アクリルレジン < ハイブリッド < ジルコニアの順に高くなる
  • 追加処置の有無:骨造成や静脈内鎮静法を併用すると費用が加わる
  • 本数:4本(All-on-4)か6本(All-on-6)か
  • 医院の技術料:症例数や設備、保証内容によって差が出る

従来の全顎インプラントとの費用比較

項目All-on-4(片顎)従来の全顎インプラント(片顎)
インプラント本数4〜6本8〜14本
費用相場200万〜350万円400万〜700万円
骨造成の追加費用不要なケースが多い15万〜35万円×箇所数
治療期間3〜6か月6か月〜2年

All-on-4は、インプラントの本数が少ないうえに骨造成を回避できるケースが多いため、従来の全顎インプラントと比較して100万〜300万円以上費用を抑えられる可能性があります。

費用の内訳や節約方法については「インプラント費用ガイド|1本あたりの相場と節約法」で詳しく解説しています。


「All-on-4は100万円でできる?」安すぎる価格の注意点

インターネットで検索すると「片顎100万円」「格安All-on-4」といった相場を大きく下回る価格を見かけることがあります。費用が最大の壁である方にとって魅力的に映りますが、相場より極端に安い価格には理由があることを知っておく必要があります。

安さの背景には、次のような要素が隠れている場合があります。

  • 上部構造にアクリルレジンなど安価な素材のみを使用:数年後の作り替えで結局は総額が膨らむことがある
  • 精密検査やサージカルガイドを簡略化:CT診断を省くと、埋入精度やトラブルのリスクが高まる
  • 保証制度が付かない、または免責範囲が広い:やり直し時に高額な追加費用がかかる
  • 経験や症例数が十分でない:難易度の高いAll-on-4では、症例経験が結果を左右する
  • 表示価格に検査・仮歯・メンテ費が含まれていない:後から追加費用が発生する

安さそのものが悪いわけではありませんが、「なぜその価格でできるのか」を確認せずに価格だけで選ぶのは危険です。総額の内訳・使用素材・保証範囲を必ず確認しましょう。安いインプラントの背景については「激安・格安インプラントはなぜ安い?理由と注意点」も参考にしてください。


All-on-4の保証制度 ― 何年保証・免責範囲を確認する

All-on-4は高額な自由診療のため、治療後にトラブルが起きたときの保証制度を事前に確認しておくことが重要です。保証内容はクリニックによって大きく異なります。

確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  • 保証期間:インプラント体(人工歯根)と上部構造(本歯)で期間が異なることが多い
  • 保証の対象範囲:脱落・破損のどこまでが無償対応か
  • 免責事項:定期メンテナンスを受けていない場合や、喫煙・事故などによる破損は対象外となることがある
  • 転居・医院移転時の扱い:引っ越し先で対応してもらえるか、保証が引き継がれるか

保証を有効に保つ条件として「定期メンテナンスの受診」を求める医院が一般的です。保証書の有無や条件は契約前に書面で確認しましょう。保証制度の一般的な仕組みは「インプラントの保証制度とは?期間と注意点」で詳しく解説しています。


All-on-4を受けられない人・慎重な検討が必要な人

All-on-4は多くの方に適応できますが、全身状態や口腔内の状態によっては受けられない、あるいは慎重な検討が必要なケースがあります。以下に該当する場合でも、必ずしも不可能とは限らず、状態のコントロールや事前処置によって治療できることもあります。最終的な適応判断は、CT検査と歯科医師の診断が不可欠です。

  • 重度の歯周病がある:まず歯周病の治療とコントロールが前提となる
  • 顎の骨が極端に薄い・少ない:All-on-4の斜め埋入でも支えが得られない場合、All-on-6やザイゴマインプラントの検討、あるいは適応外となることがある
  • コントロール不良の糖尿病:血糖値が安定していないと感染や骨結合不全のリスクが高まる(糖尿病など持病がある方のインプラントを参照)
  • ヘビースモーカー:喫煙は血流を低下させ、インプラント周囲炎や骨結合不全のリスクを高める
  • 骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート製剤など)を服用中:顎骨壊死のリスクがあるため、主治医との連携が必要
  • 重い全身疾患がある:全身麻酔・外科手術に耐えられるかの評価が必要

「そもそもインプラントを受けるべきか」を判断したい方は「インプラントはやめたほうがいい?後悔しない判断基準」もあわせてご覧ください。なお、年齢そのものは上限になりません。高齢の方の適応やリスクについては「高齢者のインプラントは何歳まで?リスクと適した治療法」で解説しています。


All-on-4で後悔・失敗しないために ― よくある失敗例と原因

高額で外科手術を伴うAll-on-4では、「思っていたのと違った」「トラブルが起きた」という後悔を避けたいところです。ここでは、よくある失敗例とその原因・対策を整理します。

失敗例1:インプラントが骨と結合しなかった

埋入したインプラントが顎の骨と結合せず、脱落してしまうケースです。

  • 主な原因:治癒期間中に硬い物を噛んで過度な負荷をかけた、喫煙、コントロール不良の糖尿病、感染
  • 対策:治癒期間中は硬いものを避ける、禁煙する、持病を安定させる、指示どおりに通院する

失敗例2:上部構造(本歯)が破損した

かぶせた人工歯が割れたり欠けたりするケースです。

  • 主な原因:安価な素材の選択、歯ぎしり・食いしばりの強い力、噛み合わせの不調整
  • 対策:耐久性の高い素材を検討する、ナイトガード(就寝時のマウスピース)で保護する、定期的に噛み合わせを調整する

失敗例3:安さで選んで再治療になった

相場を大きく下回る価格に惹かれて選んだ結果、素材の劣化や精度不足でやり直しになり、結果的に費用が高くついたケースです。

  • 主な原因:価格だけで医院を選んだ、内訳・保証を確認しなかった
  • 対策:総額の内訳・使用素材・保証範囲を確認する、複数院で見積もりを比較する

失敗例4:適応外なのに施術してトラブルになった

本来はAll-on-4に適さない骨や全身状態にもかかわらず施術し、トラブルにつながったケースです。

  • 主な原因:CT診断の簡略化、症例経験の不足
  • 対策:CTによる精密診断を行う医院を選ぶ、症例数・専門資格を確認する、必要に応じてセカンドオピニオンを受ける

これらの失敗の多くは、事前の精密検査と、経験のある医院選びで予防できます。次章の医院選びのポイントもあわせてご確認ください。


All-on-4の寿命はどのくらい?

All-on-4のインプラント体(人工歯根)自体の寿命は、適切なメンテナンスを継続した場合で10〜20年以上が目安です。開発者であるパウロ・マロ博士らの長期臨床研究では、10年の累積生存率が約94.8%(Malo et al., 2011)、18年の追跡で約93.0%(Malo et al., 2019)と報告されています(末尾の参考文献を参照)。ただし、これは開発チームによる報告であり、すべての医院・すべての患者に同じ結果が当てはまるわけではありません。

All-on-4の寿命は以下の要因で変動します。

  • メンテナンスの質と頻度:3〜6か月ごとの定期検診を受けているかどうか
  • 口腔衛生の状態:毎日の歯磨きや専用ブラシでのセルフケアの実施
  • 生活習慣:喫煙は血流を低下させ、インプラント周囲炎のリスクを高める
  • 上部構造の素材:インプラント体は長期間もつが、上部構造(被せ物)は素材により10〜15年程度で修理や交換が必要になるケースがある
  • 噛み合わせの管理:歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、ナイトガード(就寝時に装着するマウスピース)で保護する

インプラントの寿命について詳しくは「インプラントの寿命は何年?耐久性と長持ちさせるケアを解説」もあわせてご覧ください。


All-on-4の治療の流れ(5ステップ)

All-on-4の治療は、大きく5つのステップで進みます。

All-on-4治療の5ステップと期間の流れを示すタイムライン図

ステップ1:カウンセリング・精密検査(1〜2回 / 1〜2週間)

最初に歯科医院でカウンセリングと精密検査を行います。

  • 歯科用CT撮影:顎の骨の量・密度・形状を三次元的に把握する
  • 口腔内検査:残存歯の状態、歯周病の有無、噛み合わせの確認
  • 全身状態の確認:持病や服用中の薬の確認、必要に応じて血液検査
  • 治療計画の立案:CTデータをもとにインプラントの埋入位置・角度をシミュレーションし、サージカルガイドを設計

CT検査の結果をもとに、All-on-4が適応できるかどうかを歯科医師が判断します。骨の状態によっては、All-on-6(6本埋入)やザイゴマインプラント(頬骨にインプラントを埋入する方法)への変更が提案されるケースもあります(詳細は後述)。

ステップ2:抜歯・インプラント埋入手術(1回 / 手術時間2〜3時間)

手術当日は、以下の流れで進みます。

  1. 局所麻酔(不安が強い場合は静脈内鎮静法を併用)
  2. 残存歯がある場合は抜歯
  3. 顎の骨に4〜6本のインプラント体を埋入(奥歯側は斜めに傾斜埋入)
  4. 歯茎の縫合

手術は片顎あたり約2〜3時間、両顎の場合は4〜5時間が目安です。静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう:点滴で鎮静剤を投与し、半分眠ったような状態で手術を受ける方法)を併用する場合、手術中の緊張や不安が大幅に軽減されます。

痛みや麻酔について詳しくは「インプラントは痛い?術中・術後の痛みと麻酔法を解説」をご覧ください。

ステップ3:仮歯の装着(手術当日)

インプラント埋入後、数時間以内に固定式の仮歯を装着します。これがAll-on-4の最大の特徴である即時荷重です。

仮歯はあらかじめ技工所で製作しておいたものを手術直後に調整・装着します。手術当日の夕方には、やわらかい食事であれば噛むことが可能です。

ステップ4:治癒期間(3〜6か月)

仮歯を装着した状態で日常生活を送りながら、インプラント体と顎の骨が結合するオッセオインテグレーション(骨結合)を待ちます。

  • 術後1〜2週間:抜糸と経過確認
  • 1〜3か月ごと:仮歯の状態チェックと噛み合わせの調整
  • 治癒期間中は硬いものを噛むことを控え、インプラント体に過度な負荷をかけないことが重要

ステップ5:最終上部構造の装着(1〜2回 / 2〜4週間)

骨との結合が十分に確認できたら、仮歯を外して最終的な上部構造(本歯)を装着します。

  • 精密な型取り(印象採得)を行い、最終上部構造を技工所で製作
  • 素材は強化レジン、ハイブリッドセラミック、ジルコニアなどから選択
  • 噛み合わせ・色調の確認と調整

これでAll-on-4の治療は完了です。 以降は3〜6か月ごとの定期メンテナンスに移行します。


All-on-6・ザイゴマインプラントとの違い

骨の状態によっては、標準のAll-on-4ではなく、本数や術式を変えた選択肢が提案されることがあります。特に上顎は下顎に比べて骨密度が低い傾向があり、条件に応じた対応が必要です。

All-on-6 ― 6本で支える方法

All-on-6は、片顎に6本のインプラントを埋入する方法です。支える本数が増えることで安定性が高まり、噛む力を分散しやすくなります。上顎のように骨密度が低い部位や、より強い咬合力への対応が必要な場合に選択されることがあります。本数が増える分、費用はAll-on-4より高くなる傾向があります。

ザイゴマインプラント ― 頬骨を利用する方法

ザイゴマインプラントは、上顎の骨が極端に少ない場合に、頬骨(きょうこつ:ザイゴマ)に長いインプラントを固定する方法です。通常のAll-on-4では支えが得られないほど上顎の骨がやせているケースでも、骨造成を行わずに固定できる可能性があります。ただし高度な技術を要するため、対応できる医院はさらに限られます。

どの方法が適しているかは、CT検査で骨の量・密度を評価したうえで歯科医師が判断します。上顎の骨造成が必要になる場合の考え方は「インプラントの骨造成(骨を増やす手術)とは」も参考にしてください。


治療後の生活・食事・お手入れの方法

All-on-4を長持ちさせるうえで、治療後のセルフケアと生活習慣は非常に重要です。特にセルフケアの手技に不安を感じる方も多いため、ポイントを整理します。

食事の注意点

  • 手術当日〜治癒期間:やわらかい食事から始め、硬いものや粘り気の強い食べ物は控える
  • 最終上部構造の装着後:ほぼ制限なく食事を楽しめるが、氷を噛む・殻付きのナッツを歯で割るなど極端に硬いものは避ける

治療後の食事について詳しくは「インプラント治療後の食事はいつから?注意点」をご覧ください。

毎日のお手入れ(セルフケア)

All-on-4は連結型の固定式ブリッジのため、天然歯とは清掃方法が少し異なります。上部構造と歯茎の間に汚れがたまりやすいため、次のような清掃用具を組み合わせて使います。

  • 通常の歯ブラシ:全体のブラッシング
  • スーパーフロス・専用フロス:上部構造の下(歯茎との境目)に通して清掃
  • ウォーターピック(口腔洗浄器):水流で届きにくい部分の汚れを洗い流す

清掃方法は担当医や歯科衛生士から指導を受け、自分の口に合った方法を身につけることが大切です。

定期メンテナンス

3〜6か月ごとの定期検診で、噛み合わせのチェック、専門的なクリーニング、インプラント周囲の状態確認を受けます。メンテナンスは寿命を延ばすためだけでなく、保証を有効に保つ条件になっていることも多いため、必ず継続しましょう。日々のケアと定期メンテナンスの詳細は「インプラントのメンテナンス方法と費用」で解説しています。


All-on-4と他の治療法の比較

無歯顎(すべての歯を失った状態)や多数歯欠損の治療法は、All-on-4以外にも複数あります。それぞれの特徴を比較テーブルにまとめました。

比較項目All-on-4総入れ歯従来の全顎インプラントインプラントオーバーデンチャー
インプラント本数(片顎)4〜6本なし8〜14本2〜4本
装置の種類固定式ブリッジ取り外し式固定式(個別の被せ物)取り外し式(インプラントで固定する入れ歯)
噛む力(天然歯比・目安)約80〜90%約20〜30%約90%約50〜60%
見た目の自然さ高いやや劣る(歯茎の退縮が目立つ場合あり)高い中程度
骨造成の要否不要なケースが多い不要必要なケースが多い不要なケースが多い
手術当日の仮歯可能(即時荷重)-不可(待機期間が必要)不可の場合が多い
治療期間3〜6か月1〜2か月6か月〜2年3〜6か月
費用相場(片顎)200万〜350万円保険:1〜2万円 / 自費:30万〜80万円400万〜700万円80万〜200万円
メンテナンス3〜6か月ごとの定期検診半年〜1年ごとの調整3〜6か月ごとの定期検診3〜6か月ごとの定期検診

※上表の「噛む力(天然歯比)」は各治療法で一般に説明される機能回復のおおよその目安であり、噛む力は装置の状態・顎の骨・個人差により変動します。正確な値は担当医にご確認ください。

All-on-4・総入れ歯・従来インプラント・オーバーデンチャーの噛む力比較グラフ

総入れ歯との比較ポイント

総入れ歯は費用が安く手術が不要ですが、噛む力が弱く硬い食べ物が食べにくくなる傾向があります。また、長期間使用すると顎の骨がやせてフィット感が低下し、作り替えが必要になることもあります。All-on-4は噛む力が天然歯に近く、固定式のため「外れる心配」がない点が大きな違いです。

総入れ歯との詳しい比較は「インプラントと入れ歯の違いを徹底比較」で解説しています。

インプラントオーバーデンチャーとの違い

インプラントオーバーデンチャーは、2〜4本のインプラントで入れ歯を安定させる方法です。入れ歯の「外れやすさ」を改善できますが、取り外し式であるためAll-on-4ほどの噛む力は得られません。費用はAll-on-4より抑えられるため、予算と求める機能のバランスで選択します。


All-on-4の費用負担を抑える方法

費用が最大の壁になりやすいAll-on-4ですが、負担を軽減する公的・私的な制度があります。

医療費控除で税金が戻る

All-on-4を含むインプラント治療は医療費控除の対象です。1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が原則10万円を超えた場合、確定申告で所得税の還付と住民税の軽減を受けられます。デンタルローンで支払った場合も対象です。

医療費控除で戻る税額は「(年間医療費 − 10万円) × 所得税率」がおおよその目安です。所得税率は所得によって異なるため、控除額の一例を試算表で示します(住民税の軽減分は含まない概算)。

年間の医療費所得税率10%の場合の還付目安所得税率20%の場合の還付目安
100万円約9万円約18万円
200万円約19万円約38万円
300万円約29万円約58万円

※上表は「(医療費 − 10万円) × 所得税率」で計算した概算で、住民税の軽減分は含みません。実際の還付額は所得・他の控除・保険金等の補填の有無で変わります。具体的な計算方法や申告手順は「インプラントの医療費控除ガイド」および国税庁の案内をご確認ください。

デンタルローン・分割払いを活用する

高額な費用を一括で用意するのが難しい場合、デンタルローンで分割払いにする方法があります。月々の負担を抑えられる一方、金利(手数料)が上乗せされる点に注意が必要です。下表は金利を含まない単純分割での月々の目安です(実際は金利が加わります)。

借入額60回払い(5年)の月々目安120回払い(10年)の月々目安
200万円約3.3万円約1.7万円
300万円約5.0万円約2.5万円

※上表は金利を含まない単純分割の概算です。実際の返済額は金利・手数料・審査条件により変わります。分割回数別のシミュレーションや金利の考え方は「インプラントのローン・分割払いガイド」で詳しく解説しています。


後悔しないAll-on-4の医院選びのポイント

高額で技術差の出やすいAll-on-4では、医院選びが結果を大きく左右します。次のポイントを確認しましょう。

  • All-on-4の年間症例数と実績:症例経験の多さは技術力の目安になる
  • 歯科医師の専門資格:口腔インプラント関連の学会資格など
  • CTによる精密診断:埋入前に三次元での骨評価を行っているか
  • 費用の内訳と総額の明示:検査・仮歯・最終上部構造・メンテ費まで含めた総額を提示してくれるか
  • 保証制度の内容:保証期間・対象範囲・免責事項が書面で示されるか
  • 複数院での比較・セカンドオピニオン:一院の説明だけで決めず、他院の意見も聞く

医院選びの詳しいチェックポイントは「インプラント歯科の選び方ガイド」を、他院の意見を聞く方法は「インプラントのセカンドオピニオンの受け方」をご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. All-on-4は上顎と下顎のどちらにも対応できますか?

A: はい、上顎・下顎ともに対応可能です。ただし、上顎は下顎に比べて骨密度が低い傾向があるため、上顎の骨の状態によってはインプラントを6本に増やす「All-on-6」が推奨されるケースもあります。いずれの場合もCT検査による骨の評価が必須です。

Q2. All-on-4の手術は痛いですか?

A: 手術は局所麻酔下で行うため、術中に痛みを感じることはほとんどありません。痛みに不安がある方には、静脈内鎮静法の併用で半分眠ったような状態で手術を受ける方法もあります。術後は2〜3日程度の腫れや鈍い痛みが生じることがありますが、処方される鎮痛剤で管理できるのが一般的です。痛みについて詳しくは「インプラントの痛み・麻酔ガイド」をご参照ください。

Q3. All-on-4は100万円でできますか?

A: 相場を大きく下回る「片顎100万円」といった価格を見かけることがありますが、安さには理由があります。安価な素材のみの使用、検査の簡略化、保証が付かない、表示価格に検査・仮歯・メンテ費が含まれていないなどの背景が考えられます。価格だけで判断せず、総額の内訳・使用素材・保証範囲を必ず確認してください。安い理由の詳細は「激安・格安インプラントはなぜ安い?理由と注意点」もご覧ください。

Q4. All-on-4の治療後に食事の制限はありますか?

A: 手術当日からやわらかい食事は可能です。仮歯の期間(3〜6か月)は、硬いものや粘り気の強い食べ物を控えることが推奨されます。最終上部構造が装着された後は、ほぼ制限なく食事を楽しめるようになります。ただし、極端に硬い食品(氷を噛む、殻付きのナッツを歯で割るなど)は避けたほうが安全です。

Q5. All-on-4は医療費控除の対象になりますか?

A: はい、All-on-4を含むインプラント治療は医療費控除の対象です。1年間に支払った医療費の合計が原則10万円を超えた場合、確定申告で所得税の還付と住民税の軽減を受けられます。デンタルローンで支払った場合も対象です。詳しくは「インプラントの医療費控除ガイド」をご覧ください。

Q6. All-on-4が自分に適応するかどうかは、どうすれば分かりますか?

A: All-on-4の適応判断には、歯科用CTによる顎の骨の精密検査と歯科医師によるカウンセリングが不可欠です。骨の量・密度、残存歯の状態、全身の健康状態などを総合的に評価したうえで、All-on-4が最適かどうかを判断します。まずは、All-on-4に対応している歯科医院で無料カウンセリングを受け、ご自身の適応可否を確認されてみてはいかがでしょうか。


まとめ:All-on-4は「少ない本数で全ての歯を取り戻す」治療法

本記事のポイントをまとめます。

  • All-on-4は、片顎最少4本のインプラントで10〜12本の人工歯を支える治療法
  • 手術当日に仮歯が入る(即時荷重)ため、歯がない期間がほぼない
  • 骨造成が不要なケースが多く、従来の全顎インプラントより治療期間が短い
  • 費用相場は片顎200万〜350万円で、総額だけでなく内訳・素材・保証を確認することが重要
  • 安すぎる価格には理由があるため、価格だけで医院を選ばない
  • 寿命は適切なメンテナンスで10〜20年以上が期待できる
  • デメリットとして、天然歯の抜歯が必要な場合がある点、対応医院が限られる点、受けられない条件がある点に注意
  • 後悔しないためには、CT精密診断・症例数・保証を確認し、複数院で比較する

All-on-4が自分に合っているかどうかは、CT検査とカウンセリングで判断する必要があります。まずは無料カウンセリングで、骨の状態や治療の選択肢、費用の内訳について具体的に相談されてみてはいかがでしょうか。

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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療上の助言を行うものではありません。All-on-4の適応可否、治療期間、費用には個人差があり、本記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。All-on-4を含むインプラント治療は保険適用外の自由診療であり、外科手術を伴うため術後に痛み・腫れ・出血などが生じる可能性があります。具体的な治療計画や費用については、All-on-4に対応した歯科医院にて直接ご相談ください。

2026年3月12日時点の情報に基づいています。

〈調査概要〉
本記事中のAll-on-4の費用データは、2026年3月時点で「オールオンフォー 費用」関連キーワードにより上位表示された歯科医院等のWebサイトで、具体的な料金を掲載しているページの情報をもとに整理したものです(かがやきインプラント編集部調べ)。費用は口腔状態・使用メーカー・上部構造の素材・地域・骨造成の有無等により大きく異なります。上記はあくまで調査時点の参考情報であり、最新の正確な費用は各歯科医院へ直接お問い合わせください。本記事はかがやきインプラント編集部が作成しており、内容の正確性には努めていますが、治療の適応や費用の判断は必ず歯科医師にご相談ください。

参考文献

  1. Maló P, de Araújo Nobre M, Lopes A, Moss SM, Molina GJ. A longitudinal study of the survival of All-on-4 implants in the mandible with up to 10 years of follow-up. J Am Dent Assoc. 2011;142(3):310-320. doi:10.14219/jada.archive.2011.0170
  2. Maló P, de Araújo Nobre M, Lopes A, Ferro A, Botto J. The All-on-4 treatment concept for the rehabilitation of the completely edentulous mandible: A longitudinal study with 10 to 18 years of follow-up. Clin Implant Dent Relat Res. 2019;21(4):565-577. doi:10.1111/cid.12769
  3. 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

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