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インプラントオーバーデンチャーとは?費用・メリット・デメリット

インプラントオーバーデンチャーとは?費用・メリット・デメリット

総入れ歯が「ずれる」「痛くて噛めない」と悩んでいる方にとって、インプラントオーバーデンチャー(インプラント義歯)は有力な選択肢です。片顎あたり2〜4本のインプラント(人工歯根)で入れ歯を固定する治療法で、費用の目安はAll-on-4の約半額にあたる片顎50万〜150万円。取り外して洗える清掃性の良さも特長です。ただし完全固定ではないため噛み心地はAll-on-4に一歩譲り、アタッチメントの定期交換も欠かせません。本記事では、仕組みから費用、メリット・デメリット、向いている人・向いていない人、寿命、治療の流れまでを網羅的に解説します。

この記事でわかること

このページは、総入れ歯に不満を感じている方や、費用の面でAll-on-4に踏み切れない方に向けて、インプラントオーバーデンチャーの全体像をまとめたものです。8,000字を超える長めの記事のため、知りたい項目から読み進めていただけます。

なお、本記事で示す費用相場は、2026年3月時点で「インプラント 費用」関連キーワードにより上位表示された歯科医院30院(うち具体的料金を掲載している25院)のWebサイト掲載情報をもとに、かがやきインプラント編集部が独自に集計したものです(詳しい集計方法は記事末尾の〈調査概要〉に記載)。


オーバーデンチャーとは ― 仕組みと固定方式

基本的な仕組み

インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨に埋入した2〜4本のインプラント体(チタン製の人工歯根)を支点にして、取り外し式の義歯(入れ歯)を上からかぶせて固定する治療法です。「インプラント義歯」「IOD(Implant Overdenture)」とも呼ばれます。

通常の総入れ歯が歯ぐきへの吸着力だけで固定するのに対し、オーバーデンチャーはインプラントに取り付けたアタッチメント(連結装置)で義歯を物理的に固定します。これにより、入れ歯のずれや浮き上がりが改善され、噛む力の向上が期待できます。

総入れ歯とオーバーデンチャーの固定構造を比較した断面図

代表的なアタッチメントの種類

オーバーデンチャーの固定方式にはいくつかの種類があります。

  • ロケーターアタッチメント:インプラントの頭部に小さなボタン状の部品を取り付け、義歯内面のナイロン製キャップでパチンとはめ込む方式。現在最も広く使われており、着脱が簡単で維持管理もしやすい
  • ボールアタッチメント:インプラント上部に球状の金属を取り付け、義歯内面のソケットで固定する方式。構造がシンプルで費用を抑えやすい
  • バーアタッチメント:複数のインプラントを金属製のバー(棒)で連結し、義歯をバーの上にクリップで固定する方式。安定性が高いが、製作コストがやや高くなる
  • マグネットアタッチメント:インプラントと義歯の双方に磁石を埋め込み、磁力で固定する方式。着脱が最も容易だが、横方向の力には弱い

どのアタッチメントが適しているかは、インプラントの本数・位置、骨の状態、患者の手指の巧緻性(こうちせい:細かい動作をする能力)などを考慮して歯科医師が判断します。

オーバーデンチャーの4種類のアタッチメント(ロケーター・ボール・バー・マグネット)比較図


オーバーデンチャーと他の治療法の比較

総入れ歯に不満がある場合の主な治療選択肢を比較テーブルにまとめました。

入れ歯・オーバーデンチャー・All-on-4・全顎インプラントを費用と噛む力で比較したマップ

比較項目オーバーデンチャー総入れ歯All-on-4従来の全顎インプラント
インプラント本数(片顎)2〜4本なし4〜6本8〜14本
装置の種類取り外し式(インプラント固定)取り外し式(吸着固定)固定式ブリッジ固定式(個別の被せ物)
噛む力(天然歯比)約50〜70%約10〜20%約80〜90%約90%
見た目の自然さ中程度やや劣る高い高い
骨造成の要否不要なケースが多い不要不要なケースが多い必要なケースが多い
清掃のしやすさ取り外して洗えるため容易取り外して洗える固定式のため専用器具が必要固定式のため専用器具が必要
治療期間3〜6か月1〜2か月3〜6か月6か月〜2年
費用相場(片顎)50万〜150万円保険:1〜2万円 / 自費:30万〜80万円200万〜350万円400万〜700万円

オーバーデンチャーは、総入れ歯より安定感があり、All-on-4より費用を抑えられる中間的な位置づけの治療法です。表中の「噛む力(天然歯比)」は、複数の臨床研究で報告されている咀嚼機能の回復度合いの目安を示したもので、症例や骨の状態によって個人差があります[注1]

All-on-4について詳しくは「All-on-4(オールオンフォー)とは?費用・メリット・寿命を解説」をご覧ください。総入れ歯との違いは「インプラントと入れ歯の違いを徹底比較」でも解説しています。


オーバーデンチャーの5つのメリット

メリット1:総入れ歯より格段に安定する

オーバーデンチャーはインプラントとアタッチメントで義歯を物理的に固定するため、食事中や会話中に入れ歯がずれたり外れたりする不安が大きく減ります。総入れ歯の噛む力が天然歯の約10〜20%であるのに対し、オーバーデンチャーは**約50〜70%**まで回復するとされています[注1]。入れ歯安定剤に頼らずに済むケースも多く、「人前で外れないか気になって思い切り笑えなかった」という悩みの軽減が期待できます。

メリット2:All-on-4より費用を抑えられる

オーバーデンチャーの費用相場は片顎50万〜150万円で、All-on-4(片顎200万〜350万円)の約半額程度に収まるケースが多くあります。インプラントの本数が2〜4本と少ないうえ、固定式のブリッジ(連結した人工歯)ではなく義歯を使うため、上部構造の製作コストも抑えられます。

費用の詳しい内訳や節約方法は「インプラント費用ガイド|1本あたりの相場と節約法」で解説しています。

メリット3:取り外して清掃できる

オーバーデンチャーは取り外し式のため、義歯を外して隅々まで洗浄できます。All-on-4のような固定式ブリッジは、義歯と歯ぐきの間の清掃に専用のブラシやウォーターフロス(水流で洗浄する器具)が必要ですが、オーバーデンチャーは義歯を外して流水で洗い、インプラント周囲も直接ブラッシングできるため、口腔衛生を保ちやすいというメリットがあります。

清掃を怠るとインプラント周囲炎(インプラント版の歯周病)のリスクが高まる点は、固定式・取り外し式を問わず共通です。メンテナンスの詳しい方法は「インプラントのメンテナンスガイド」もあわせてご覧ください。

メリット4:インプラントの本数が少なく、身体的負担が軽い

オーバーデンチャーに必要なインプラントは片顎2〜4本です。All-on-4の4〜6本、従来の全顎インプラントの8〜14本と比べて埋入本数が少ないため、手術時間が短く、術後の腫れや痛みも抑えられる傾向があります。特に高齢の方や全身疾患のある方にとって、身体的な負担が少ない点は大きな利点です。

高齢者のインプラント治療については「高齢者のインプラント治療ガイド」で詳しく解説しています。

メリット5:顎の骨の吸収を防ぐ効果が期待できる

歯を失うと、噛む刺激がなくなった顎の骨(歯槽骨)は徐々に吸収されて痩せていきます。総入れ歯ではこの骨吸収を止められませんが、オーバーデンチャーはインプラントを通じて噛む力が骨に伝わるため、骨吸収の進行を抑える効果が期待できます。骨が痩せると入れ歯のフィットが悪化する悪循環を防げる点も重要です。


オーバーデンチャーの4つのデメリット・注意点

オーバーデンチャーにはメリットが多い一方で、治療を検討する際に把握しておくべきデメリットや注意点もあります。良い面だけでなく、次のような制約も理解したうえで判断することが大切です。

デメリット1:完全固定ではないため、All-on-4ほどの噛み心地は得られない

オーバーデンチャーは取り外し式の義歯であるため、All-on-4のような固定式ブリッジと比べると噛む力やフィット感にやや差があります。硬い食べ物を噛む際に若干のたわみや動きを感じる場合があり、天然歯やAll-on-4ほどの噛み心地を求める方にとっては物足りなく感じるケースもあります。

デメリット2:アタッチメントの交換が定期的に必要

ロケーターやボールアタッチメントに使われるナイロン製やゴム製のパーツは、使用するうちに摩耗して固定力が低下します。一般的に6か月〜2年ごとにパーツの交換が必要です。交換費用は1回あたり数千円〜1万円程度ですが、継続的なランニングコストとして想定しておく必要があります。

デメリット3:審美性はAll-on-4にやや劣る

オーバーデンチャーは義歯の構造上、歯ぐきを覆う床(しょう:義歯のピンク色の部分)が必要になるため、All-on-4の固定式ブリッジと比べると見た目の自然さではやや劣る面があります。特に大きく口を開けたときに、義歯の縁が見える可能性があります。

デメリット4:毎日の着脱とケアが必要

オーバーデンチャーは取り外し式であることがメリットでもありますが、毎日の着脱と洗浄が欠かせません。就寝前に義歯を外して洗浄し、インプラント周囲を丁寧にブラッシングする習慣が必要です。固定式のAll-on-4と比べると、日々のケアにやや手間がかかる点は理解しておく必要があります。手指の細かい動作が難しい方は、着脱しやすいアタッチメント方式を選ぶなど歯科医師と相談するとよいでしょう。

残った歯がある場合(部分的なオーバーデンチャー)の注意点

奥歯や前歯が数本残っている状態で、その歯とインプラントを併用して義歯を支える「部分的なオーバーデンチャー」を選ぶケースもあります。この場合に見落としがちなのが、支えに使う残存歯にむし歯や歯周病のリスクが集中しやすいという点です。義歯の下は汚れがたまりやすく、清掃が不十分だと支えの歯を失って治療計画の見直しが必要になることもあります。歯周病がある方は、治療前に歯周病のコントロールを済ませておくことが重要です。詳しくは「インプラントと歯周病の関係|リスクと対策」をご覧ください。


オーバーデンチャーが向いている人・向いていない人

オーバーデンチャーは万能な治療法ではありません。ご自身の状況が適応に合うかどうかを、以下のチェックリストで確認してみましょう。最終的な適応の可否はCT検査と歯科医師の診断で決まりますが、事前のセルフチェックの目安になります。

オーバーデンチャーが向いている人

  • 総入れ歯が「ずれる」「痛い」「噛めない」と感じている人 ― 安定感の向上が最も実感しやすいケースです
  • All-on-4や固定式インプラントは予算的に難しい人 ― 片顎50万〜150万円で、費用の現実性を重視する方に向いています
  • 入れ歯を取り外して清潔に保ちたい人 ― 毎日の着脱・洗浄が苦にならない方に適しています
  • 顎の骨がある程度残っている人 ― 少ない本数のインプラントで安定を得やすくなります
  • 多くの歯を失っている高齢の方 ― 埋入本数が少なく身体的負担が軽いため適応しやすい傾向があります

オーバーデンチャーが向いていない・慎重な判断が必要な人

  • 固定式の噛み心地・審美性を最優先したい人 ― この場合はAll-on-4のほうが満足度が高いことがあります
  • 顎の骨の吸収が非常に進んでいる人 ― インプラントを支えるだけの骨が不足し、事前に骨造成が必要になる場合があります
  • 重度の糖尿病など血糖コントロールが不良な人 ― 感染しやすく傷の治りが遅れ、骨結合に影響することがあります
  • 骨粗しょう症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤など)を使用している人 ― 顎骨の合併症リスクがあり、主治医との連携が必須です
  • 喫煙習慣がある人(特にヘビースモーカー) ― 傷の治りやインプラントの定着に悪影響を及ぼすとされます
  • 毎日の着脱・清掃を継続するのが難しい人 ― ケア不足はインプラント周囲炎につながります

これらの条件があっても、必ずしも治療を断念しなければならないわけではありません。リスクを正しく理解し、コントロールしたうえで治療に臨めるかどうかが判断の分かれ目です。喫煙や飲酒がインプラントに与える影響は「インプラントと喫煙・飲酒|治療への影響と注意点」、糖尿病など全身疾患との関係は「インプラントと糖尿病・全身疾患|治療可否の判断」で詳しく解説しています。


オーバーデンチャーの費用

オーバーデンチャーは自由診療(公的医療保険が適用されない治療)のため、費用はクリニックによって異なります。以下に費用の目安をまとめます(かがやきインプラント編集部による30院調査に基づく参考値。詳細は末尾〈調査概要〉)。

費用テーブル

費用項目費用の目安(税込)
精密検査・CT撮影1万〜5万円
インプラント埋入(1本あたり)15万〜30万円
アタッチメント(1セット)5万〜15万円
義歯(上部構造)製作10万〜30万円
片顎トータル(2本の場合)50万〜100万円
片顎トータル(4本の場合)80万〜150万円
両顎トータル100万〜300万円
アタッチメント交換(年1〜2回)5,000円〜1万円/回

他の治療法との費用比較

治療法片顎の費用相場インプラント本数
オーバーデンチャー50万〜150万円2〜4本
All-on-4200万〜350万円4〜6本
従来の全顎インプラント400万〜700万円8〜14本
総入れ歯(保険)1万〜2万円なし
総入れ歯(自費・金属床等)30万〜80万円なし

オーバーデンチャーはAll-on-4と比べて100万〜200万円以上費用を抑えられるケースが多く、「総入れ歯では不満だが、All-on-4は予算的に難しい」という方にとって現実的な選択肢です。

医療費控除・分割払いで負担を軽くする

オーバーデンチャーも医療費控除の対象となります。1年間(1月〜12月)に支払った医療費の合計が原則10万円を超えた場合、超えた分について確定申告で所得税の還付と翌年の住民税軽減を受けられます[注2]。デンタルローンで支払った場合も、その年に成立したローン契約分は対象です。控除の対象範囲や申告方法は「インプラントと医療費控除|対象範囲と申告方法」で解説しています。

まとまった費用を一括で用意するのが難しい場合は、デンタルローンや分割払いを利用する方法もあります。詳しくは「インプラントのローン・分割払いガイド」をご参照ください。


上顎と下顎で異なる本数と適応

オーバーデンチャーは上顎・下顎のどちらにも適用できますが、骨の性質が異なるため、必要なインプラントの本数やアタッチメントの選び方が変わります。

下顎のオーバーデンチャー

下顎は上顎に比べて骨が硬く密度が高いため、インプラントが安定しやすい部位です。下顎では2本のインプラントでも十分な固定力を得られるケースが多いとされ、費用や身体的負担を抑えやすいのが特長です。少ない本数でも安定を得られることから、オーバーデンチャーが最も適応しやすい部位といえます。

上顎のオーバーデンチャー

一方、上顎は骨密度が低く、上顎洞(じょうがくどう:鼻の脇にある空洞)が近いため、インプラントの固定条件が下顎より厳しくなります。そのため上顎では4〜6本のインプラントを用いたり、バーアタッチメントで連結して安定性を高めたりする工夫が必要になる場合があります。骨の高さが不足している場合は、事前に骨造成が必要になることもあります。

上顎特有の難しさ(骨の薄さ・上顎洞との近接・費用面)については「上顎のインプラント治療|難しさと注意点」で詳しく解説しています。どちらの顎に何本必要かは、CT検査で骨の状態を確認したうえで歯科医師が判断します。


オーバーデンチャーの寿命と長期予後

「せっかく費用をかけるなら、どれくらい長く使えるのか」は多くの方が気にされる点です。オーバーデンチャーは、大きく分けて「インプラント体」「義歯本体」「アタッチメント」という3つの要素で構成され、それぞれ耐用年数が異なります。

3つの構成要素ごとの耐用年数の目安

構成要素耐用年数の目安交換・調整のポイント
インプラント体(人工歯根)長期(10年生存率90%以上[注3])顎の骨に定着すれば長く機能する。周囲炎予防が鍵
義歯本体(入れ歯部分)数年〜10年程度摩耗・破損時に修理または作り直し
アタッチメント(連結パーツ)6か月〜2年摩耗するため定期交換が前提の消耗品

インプラント体そのものは、適切なメンテナンスを継続すれば10年後の生存率が90%以上と報告されています[注3]。一方、義歯本体やアタッチメントは消耗品であり、定期的な調整・交換が必要です。つまり「一度入れたら一生そのまま」ではなく、メンテナンスを続けることで長く使える治療法だと理解しておくことが大切です。

寿命を延ばすための3つのポイント

  • 定期メンテナンスを欠かさない ― 3〜6か月ごとの検診でアタッチメントの摩耗や周囲炎の兆候を早期に発見できます
  • 毎日のセルフケアを丁寧に行う ― 義歯を外して洗い、インプラント周囲を清潔に保つことがインプラント周囲炎の予防につながります
  • 喫煙・血糖コントロールなど全身要因に配慮する ― 喫煙や糖尿病はインプラントの長期予後に影響します

インプラント全体の寿命や生存率を左右する要因については「インプラントの寿命と耐久性|何年もつか」で詳しく解説しています。


オーバーデンチャーの治療の流れ(5ステップ)

オーバーデンチャーの治療は、大きく5つのステップで進みます。全体の治療期間は3〜6か月が一般的です。

オーバーデンチャー治療の5ステップと期間を示すタイムライン図

ステップ1:カウンセリング・精密検査(1〜2回 / 1〜2週間)

最初に歯科医院でカウンセリングと精密検査を行います。

  • 歯科用CT撮影:顎の骨の量・密度・形状を三次元的に把握する
  • 口腔内検査:残存歯の状態、歯周病の有無、現在使用中の入れ歯の適合状態の確認
  • 全身状態の確認:持病や服用中の薬の確認(糖尿病や骨粗しょう症の薬など)
  • 治療計画の立案:インプラントの埋入位置、本数、アタッチメントの種類を決定

CT検査の結果をもとに、オーバーデンチャーが適応できるかどうかを歯科医師が判断します。骨の状態によっては、骨造成(骨を増やす処置)が事前に必要になるケースもあります。

ステップ2:インプラント埋入手術(1回 / 手術時間30分〜1時間半)

手術当日は以下の流れで進みます。

  1. 局所麻酔(不安が強い場合は静脈内鎮静法を併用)
  2. 顎の骨に2〜4本のインプラント体を埋入
  3. 歯ぐきの縫合

手術時間は本数にもよりますが、片顎で30分〜1時間半程度です。All-on-4(2〜3時間)と比べて手術時間が短く、身体への負担も軽くなります。

手術への不安が強い方には、静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう:点滴で鎮静薬を投与し、半ば眠ったような落ち着いた状態で治療を受けられる方法)を併用できるクリニックもあります。高齢の方や過去に歯科治療で強い緊張を経験した方にとって、負担を和らげる選択肢になります。詳しくは「インプラントの静脈内鎮静法ガイド」をご覧ください。

ステップ3:治癒期間(2〜4か月)

インプラント体と顎の骨が結合するオッセオインテグレーション(骨結合)を待ちます。この期間中は、既存の入れ歯を調整して仮の義歯として使用できるケースが多いため、歯がない状態にはなりません。

  • 術後1〜2週間:抜糸と経過確認
  • 1〜2か月ごと:骨結合の進行をチェック

ステップ4:アタッチメント装着・義歯製作(2〜3回 / 2〜4週間)

骨との結合が確認できたら、インプラントの頭部にアタッチメント(ロケーター、ボール、バーなど)を装着します。

  • 精密な型取り(印象採得)を行い、新しい義歯を技工所で製作
  • 義歯内面にアタッチメントの受け側パーツを埋め込む
  • 噛み合わせ・フィット感の調整

ステップ5:完成・装着(1回)

完成した義歯を装着し、最終的な噛み合わせや装着感を確認します。着脱の練習やセルフケアの指導も行います。

これでオーバーデンチャーの治療は完了です。 以降は3〜6か月ごとの定期メンテナンスに移行します。

インプラント治療全般の流れや期間の考え方は「インプラントの治療期間と流れガイド」でも解説していますので、あわせてご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. オーバーデンチャーは上顎と下顎のどちらにも対応できますか?

A: はい、上顎・下顎ともに対応可能です。ただし、下顎のほうが骨密度が高く、少ない本数で安定を得やすい傾向があります。下顎は2本のインプラントでも十分な固定力を得られるケースが多い一方、上顎は骨密度が低いためインプラントを4〜6本にしたり、バーアタッチメントで連結して安定性を高めたりする工夫が必要になる場合があります。詳しくは「上顎のインプラント治療|難しさと注意点」をご覧ください。

Q2. 今使っている入れ歯をそのまま使えますか?

A: 現在使用中の入れ歯の状態が良好であれば、内面にアタッチメントの受け側パーツを埋め込む改修を行い、そのままオーバーデンチャーとして使用できるケースもあります。ただし、義歯の劣化が進んでいる場合や、フィット感が大きくずれている場合は新しい義歯を製作したほうが良好な結果を得やすくなります。

Q3. オーバーデンチャーとAll-on-4で迷っています。どう選べばよいですか?

A: 費用を抑えたい、または取り外して清掃したい場合はオーバーデンチャー噛む力や審美性を最優先にしたい場合はAll-on-4が向いています。All-on-4は固定式のため噛む力が天然歯の約80〜90%まで回復するとされますが、費用は片顎200万〜350万円かかります。どちらが適しているかは骨の状態や生活スタイルによっても変わるため、歯科医師に相談して判断することが大切です。All-on-4の詳細は「All-on-4ガイド」をご覧ください。

Q4. オーバーデンチャーは保険適用になりますか?

A: 原則として、オーバーデンチャーを含むインプラント治療は保険適用外の自由診療です。ただし、医療費控除の対象にはなるため、年間の医療費が原則10万円を超えた場合に確定申告で所得税・住民税の還付を受けられます[注2]。デンタルローンで支払った場合も対象です。

Q5. 高齢でもオーバーデンチャーの治療を受けられますか?

A: 年齢そのものが治療の可否を決めるわけではありません。70代・80代で治療を受ける方もいます。オーバーデンチャーはインプラントの本数が少なく手術の負担が軽いため、高齢の方にも比較的適応しやすい治療法です。ただし、重度の糖尿病や心疾患がある場合は、かかりつけの医師と連携して治療可能かを判断する必要があります。高齢者のインプラント治療については「高齢者のインプラント治療ガイド」で詳しく解説しています。

Q6. オーバーデンチャーの寿命はどれくらいですか?

A: インプラント体そのものは、適切なメンテナンスを継続すれば10年生存率90%以上と報告されています[注3]。一方、義歯本体は数年〜10年程度で作り直しが必要になることがあり、アタッチメント(連結パーツ)は消耗品のため6か月〜2年ごとの交換が前提です。定期メンテナンスと毎日のセルフケアを続けることが、長く使うための鍵になります。寿命を左右する要因は「インプラントの寿命と耐久性|何年もつか」で解説しています。


まとめ:オーバーデンチャーは「入れ歯の安定感」と「費用の現実性」を両立する治療法

本記事のポイントをまとめます。

  • オーバーデンチャーは、片顎2〜4本のインプラントで入れ歯を固定する治療法
  • 費用相場は片顎50万〜150万円で、All-on-4(200万〜350万円)より大幅に抑えられる
  • **噛む力は天然歯の約50〜70%**まで回復し、総入れ歯(10〜20%)より向上するとされる[注1]
  • 取り外して清掃できるため、口腔衛生を保ちやすい
  • インプラント本数が少なく、手術の負担が軽いため高齢者にも適応しやすい
  • 下顎は2本でも安定しやすく、上顎は4〜6本や連結が必要になる場合がある
  • デメリットとして、All-on-4ほどの噛み心地は得られない点、アタッチメント交換が必要な点に注意
  • 治療期間は3〜6か月、その後も定期的なメンテナンスが欠かせない

オーバーデンチャーが自分に合っているかどうかは、顎の骨の状態やご自身が求める機能・予算によって変わります。適応判断にはCT検査と歯科医師によるカウンセリングが不可欠です。まずは無料カウンセリングで、ご自身の状態に合った治療法を相談されてみてはいかがでしょうか。

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All-on-4と比較したい方は:All-on-4(オールオンフォー)とは?費用・メリット・寿命を解説
入れ歯との違いを知りたい方は:インプラントと入れ歯の違いを徹底比較
費用について知りたい方は:インプラント費用ガイド|1本あたりの相場と節約法
高齢者の治療が気になる方は:高齢者のインプラント治療ガイド
寿命が気になる方は:インプラントの寿命と耐久性|何年もつか
メンテナンスについて知りたい方は:インプラントのメンテナンスガイド


注釈・参考文献

  • [注1] 咀嚼機能(噛む力)の回復度合いは、義歯の種類・インプラントの本数・骨の状態などにより個人差があります。総入れ歯に比べてインプラントで支持する義歯のほうが咀嚼能率・満足度が高いことは、複数の臨床研究・システマティックレビューで報告されています。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ )
  • [注2] 医療費控除の要件・計算方法は国税庁の案内に基づきます。(参考:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm )
  • [注3] インプラントの10年生存率は、複数の臨床研究・システマティックレビューで概ね90%以上と報告されています。生存率は部位・全身状態・メンテナンスの継続などにより変動します。(参考:日本口腔インプラント学会「口腔インプラント治療指針」 https://www.shika-implant.org/ )

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療上の助言を行うものではありません。オーバーデンチャーの適応可否、治療期間、費用には個人差があり、本記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。オーバーデンチャーを含むインプラント治療は保険適用外の自由診療であり、外科手術を伴うため術後に痛み・腫れ・出血が生じる可能性があります。具体的な治療計画や費用については、インプラント治療に対応した歯科医院にて直接ご相談ください。

本記事はかがやきインプラント編集部が作成・監修しています。

最終更新:2026年7月5日(2026年3月12日時点の情報に基づいています。)

〈調査概要〉
本記事中の費用データは、2026年3月12日時点でGoogle検索「インプラント 費用」関連キーワードにより上位表示された歯科医院30院(うち具体的料金を掲載している25院)のWebサイト掲載情報をもとに、かがやきインプラント編集部が独自に集計したものです。オーバーデンチャーの費用は口腔状態・使用メーカー・埋入本数・アタッチメントの種類・地域・骨造成の有無等により大きく異なります。上記はあくまで調査時点の参考情報であり、最新の正確な費用は各歯科医院へ直接お問い合わせください。

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