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即時荷重インプラントとは?当日に仮歯が入る条件とリスク

即時荷重インプラントとは?当日に仮歯が入る条件とリスク

「インプラント治療は期間が長い」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、即時荷重(そくじかじゅう)であれば、インプラント埋入手術の当日に固定式の仮歯を装着でき、歯がない期間をほぼゼロにできます。ただし、当日入る仮歯は「やわらかい食事のみ」の暫定的なものであり、骨の量や初期固定力などの適応条件を満たした方だけが受けられる治療法です。本記事では、即時荷重の仕組み・メリット・デメリット・適応条件・費用・当日の流れまでを、かがやきインプラント編集部が網羅的に解説します。

即時荷重とは?

**即時荷重(Immediate Loading)**とは、インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋入した後、48時間以内に仮歯(プロビジョナルレストレーション)を装着する治療法です。「即日インプラント」「ワンデーインプラント」とも呼ばれます。

通常のインプラント治療では、埋入後にインプラント体と顎の骨が結合する「オッセオインテグレーション(骨結合)」を2〜6か月待ってから被せ物を装着します。この待機期間中は歯がない状態、あるいは取り外し式の仮歯で過ごすことになります。

一方、即時荷重では手術当日に固定式の仮歯をインプラント体に直接取り付けるため、手術日のうちに見た目と咀嚼機能をある程度回復できます。ただし、この仮歯はあくまで暫定的なもので、骨結合が完了した後(通常2〜4か月後)に最終的な上部構造(セラミックやジルコニアの被せ物)に交換します。

即時荷重と従来法の治療期間・仮歯装着タイミングを比較したタイムライン図

「当日に仮歯が入る」=完全な咀嚼回復ではない点に注意

即時荷重で誤解しやすいのが、「手術当日から何でも噛める」という期待です。手術当日に入る仮歯は、骨結合が完成する前のインプラント体を保護しながら見た目と最低限の機能を補うための暫定的な仮歯です。噛み合わせを意図的に低めに設定していることも多く、装着直後はやわらかい食事が中心になります。硬い食べ物を普通に噛めるようになるのは、骨結合が完了して最終的な被せ物に交換してからです。

「歯がない期間をなくせる」という審美・生活面のメリットは大きい一方で、「当日から通常の食生活に完全復帰できるわけではない」という前提を理解しておくことが、治療後の満足度につながります。


従来法との比較テーブル

即時荷重と従来法(待時荷重)は、治療の進め方や期間が大きく異なります。以下の比較表でポイントを確認してみましょう。

比較項目即時荷重従来法(待時荷重)
仮歯の装着時期手術当日(48時間以内)骨結合後(2〜6か月後)
総治療期間(目安)3〜5か月4〜10か月
手術回数基本1回(1回法)1〜2回(2回法が多い)
通院回数(目安)4〜7回5〜12回
歯がない期間ほぼなし2〜6か月
適応範囲骨の状態や初期固定力など条件が厳しい幅広い症例に対応可能
費用(目安)やや割高(仮歯制作費が追加)標準的
歯科医師の技術要件高度な技術・設備が必要標準的

※費用はクリニックの治療方針やインプラントメーカーによって異なります。

即時荷重は治療期間が大幅に短縮できる反面、適応条件が厳しく、すべてのケースに対応できるわけではありません。また、骨結合が進むまでの間は仮歯に過度な力をかけないよう注意が必要です。従来法を含めた全体像は「インプラントの治療期間は?全体の流れと通院回数を解説」でも詳しく解説しています。


即時荷重の当日の流れ・治療スケジュール

「当日はどのくらい時間がかかるのか」「最終的な歯になるまで何回通うのか」は、多くの方が気になるポイントです。ここでは即時荷重の一般的な流れを時系列で整理します(実際の手順・所要時間はクリニックや症例によって異なります)。

ステップ1:事前検査・治療計画(手術前)

まずカウンセリングと精密検査を行います。特に重要なのが歯科用CT(コーンビームCT)による骨の量・密度・形態の評価です。CT画像をもとに、即時荷重が可能かどうかの見込みを立て、埋入位置をシミュレーションします。CT検査の内容は「インプラントのCT検査とは?費用・被ばく・目的を解説」で詳しく解説しています。

ステップ2:手術当日(埋入〜仮歯装着)

手術当日は、以下のような流れで進みます。

  1. 麻酔・埋入手術:局所麻酔下でインプラント体を顎の骨に埋入します。All-on-4など本数が多い場合や不安が強い場合は、静脈内鎮静法を併用することもあります(参考:インプラントの静脈内鎮静法とは?費用・眠っている間の手術を解説)。
  2. 初期固定値の測定:埋入と同時に、インプラント体がどれだけしっかり固定されているか(初期固定値・トルク値)を測定します。この値が基準を満たすかどうかが、即時荷重を実行できるかの最終判断となります。
  3. 仮歯の製作・装着:基準を満たせば、その日のうちに固定式の仮歯を製作・調整して装着します。

手術と仮歯装着を合わせた当日の所要時間は、1本であれば1〜数時間、All-on-4など多数歯では数時間に及ぶこともあります。痛みや麻酔の詳細は「インプラントは痛い?術中・術後の痛みと麻酔法を解説」をご覧ください。

ステップ3:仮歯で過ごす期間(骨結合の待機)

装着後は、骨結合が完了するまでの2〜4か月程度を仮歯で過ごします。この期間は仮歯に過度な力をかけないよう、やわらかい食事を中心にし、歯科医師の指示に従った生活を送ることが重要です(過ごし方は後述します)。

ステップ4:最終的な被せ物(上部構造)への交換

骨結合が確認できたら、暫定的な仮歯を外し、最終的な上部構造(セラミックやジルコニアなどの被せ物)に交換します。ここで初めて、通常の食事に戻していける状態になります。最終補綴物は、後述する「歯茎のコンディショニング」によって整えられた歯茎のラインに合わせて製作されるため、審美的な仕上がりが期待できます。


即時荷重の3つのバリエーション

即時荷重にはいくつかのバリエーションがあり、患者の口腔状態に応じて歯科医師が最適な方法を選択します。代表的な3つの方法を紹介します。

即時荷重の3つのバリエーション(抜歯即時埋入・フラップレス・All-on-4)を比較したイラスト

バリエーション1:抜歯即時埋入+即時荷重

抜歯即時埋入とは、歯を抜くと同時にインプラント体を埋め込む方法です。これに即時荷重を組み合わせることで、「抜歯 → インプラント埋入 → 仮歯装着」を1日で完了できます。

通常は抜歯後に2〜3か月の骨の回復期間を置いてからインプラント手術を行いますが、抜歯即時埋入ではこの待機期間をカットできるため、トータルの治療期間が最も短くなります。抜歯後の選択肢や埋入タイミングの考え方は「抜歯後のインプラント|放置リスクと埋入タイミングを解説」で詳しく解説しています。

主な適応条件

  • 抜歯窩(歯を抜いた穴)の周囲に十分な骨が残っている
  • 感染や膿(歯根嚢胞など)がコントロールされている
  • インプラント体の初期固定が十分に得られる

バリエーション2:フラップレス手術+即時荷重

フラップレス手術とは、歯茎を大きく切開せずにインプラントを埋入する方法です。歯茎に小さな穴(パンチホール)を開け、そこからドリリングとインプラント埋入を行います。

フラップレス手術と即時荷重を組み合わせると、以下のようなメリットが得られます。

  • 手術時間の短縮:切開・縫合が不要なため、30分〜1時間程度で完了
  • 術後の腫れ・痛みの軽減:組織へのダメージが少ない
  • 治癒の促進:歯茎の回復が早いため、仮歯の安定も早まる

ただし、フラップレス手術は歯茎を開かずに骨の状態を直接確認できないため、事前にCT(コーンビームCT)で骨の形態を精密に把握し、ガイデッドサージェリー(コンピューターでインプラントの埋入位置をシミュレーションし、専用のガイドプレートを作成する方法)を併用するのが一般的です。ガイデッドサージェリーの仕組みは「インプラントのサージカルガイドとは?精度と安全性を解説」で解説しています。

バリエーション3:All-on-4(オールオンフォー)即時荷重

All-on-4とは、片顎(上顎または下顎)に最少4本のインプラント体を埋入し、その上に10〜12本分の連結した人工歯を固定する治療法です。即時荷重を前提としたプロトコル(治療手順)であり、手術当日に固定式の仮歯を装着できます。

All-on-4は、歯をほとんど、あるいはすべて失った方(無歯顎)に適した方法で、以下の特徴があります。

  • 従来の総入れ歯と異なり、固定式のため外れる心配がない
  • 最少4本のインプラントで片顎全体を支えるため、費用を抑えられる
  • 骨が少ない部位を避けて埋入位置を工夫するため、骨造成(骨を増やす手術)が不要になるケースが多い
  • 手術当日から固定式の仮歯で食事が可能

All-on-4の詳しい仕組みや費用については「All-on-4(オールオンフォー)とは?仕組み・費用・メリットを解説」をご覧ください。

即時荷重に適したインプラント体の条件

即時荷重を成功させるうえでは、術式だけでなく使用するインプラント体の性質も関わります。一般に、以下のような特徴を持つインプラント体は初期固定を得やすく、即時荷重に向くとされています。

  • 純チタン製:生体親和性が高く、骨との結合(オッセオインテグレーション)が得られやすい
  • 粗面(そめん)表面:表面に微細な凹凸を付与したタイプで、骨との接触面積が増え、結合が促進されやすい
  • スクリュー(ネジ)形状:ねじ込むことで骨にしっかり食い込み、埋入時の初期固定が得られやすい

どのメーカー・タイプのインプラントを使うかは適応やクリニックの方針によって異なります。インプラント体の種類やメーカーの違いは「インプラントの種類とメーカーの違い|選び方を解説」で詳しく解説しています。


即時荷重のメリット5つ

即時荷重には、従来法にはない大きなメリットがあります。主なメリットを5つ解説します。

メリット1:手術当日から仮歯で生活できる

即時荷重の最大のメリットは、手術当日に仮歯が入ることです。歯がない期間がほぼゼロになるため、見た目の問題で人前に出ることに抵抗を感じる方にとって大きな安心材料になります。特に前歯を失った場合は、審美面(見た目の美しさ)の早期回復が重要になるため、即時荷重の恩恵は大きいといえます。

メリット2:治療期間が大幅に短縮される

従来法では骨結合の完了を待つ2〜6か月の待機期間が必要ですが、即時荷重ではこの間に仮歯を使えるため、患者が「不便な期間」と感じる時間が大幅に短くなります。最終的な上部構造の装着も含めた全体のスケジュールが3〜5か月程度に収まるケースが多く、忙しい方にも適した治療法です。

メリット3:手術回数・通院回数を抑えられる

即時荷重は多くの場合「1回法」で行われるため、従来の2回法で必要な二次手術(アバットメント装着のための歯茎の再切開)が不要です。結果として手術回数が1回で済み、術後の通院回数も少なくなる傾向にあります。仕事や家事で忙しく、何度も歯科医院に通うのが難しい方にとって大きなメリットです。

メリット4:歯茎の形態を自然に整えられる

仮歯を早い段階から装着することで、歯茎(軟組織)がインプラントの周囲に沿って自然な形に整っていきます。これを歯茎のコンディショニングと呼び、最終的な被せ物を装着した際の見た目の自然さにつながります。歯茎のラインが整った状態で最終補綴物(被せ物)を製作できるため、審美的な仕上がりが向上する利点があります。

メリット5:QOL(生活の質)を維持しやすい

歯がない期間がなくなることで、食事・会話・笑顔といった日常生活への影響を最小限に抑えられます。取り外し式の入れ歯で過ごす不便さや、歯がない状態で人前に出る心理的な負担を避けられるため、治療中のQOL(Quality of Life:生活の質)を維持しやすい点は見逃せないメリットです。


即時荷重のデメリット・リスク4つ

メリットが多い即時荷重ですが、当然ながらデメリットやリスクも存在します。治療を検討する際は、以下の点を理解しておくことが大切です。

デメリット1:インプラント体の脱落リスクがある

即時荷重では、骨結合が完成する前の段階で仮歯に噛む力がかかります。もし仮歯に過度な力が加わると、インプラント体と骨の結合が阻害され、インプラント体が脱落する(抜け落ちる)リスクが生じます。

このリスクを低減するために、仮歯の噛み合わせを意図的に低く設定し、硬い食べ物を避けるなどの配慮が必要です。歯科医師の指示に従い、骨結合が完了するまでは仮歯に過度な力をかけない生活を心がけることが重要です。インプラントの失敗・トラブルの全体像は「インプラントの失敗・トラブル|原因とリスク回避法」で解説しています。

デメリット2:適応条件が厳しく、全員が受けられるわけではない

後述する「適応条件」を満たさない場合、即時荷重は選択できません。具体的には、骨の量や密度が不十分な方、インプラント体の初期固定力が基準に満たない方、全身疾患のコントロールが不良な方などは適応外となる可能性があります。

CT検査と術中の初期固定値(トルク値)の測定結果によっては、術前に即時荷重の予定であっても、従来法に変更されるケースもあります。「当日に仮歯が入る」と確約されるわけではない点を理解しておく必要があります。

デメリット3:高度な技術と設備が必要

即時荷重を安全に行うためには、歯科医師に高度な技術と豊富な経験が求められます。具体的には以下の要素が関わります。

  • 精密なCT診断能力:骨の量・密度・形態を正確に評価し、最適な埋入ポジションを決定する力
  • ガイデッドサージェリーの活用:コンピューターシミュレーションに基づく手術計画の立案と実行
  • 適切な初期固定の獲得技術:埋入時に十分なトルク値を得るための手技
  • 即時荷重用の仮歯設計:噛み合わせの力を分散させる仮歯の設計と調整

すべてのクリニックが即時荷重に対応しているわけではないため、実績と設備を確認した上でクリニックを選ぶことが重要です。クリニック選びの詳細は「インプラント歯科の選び方ガイド」をご覧ください。

デメリット4:費用がやや割高になる場合がある

即時荷重では、手術当日に仮歯を製作・装着するため、仮歯の制作費用が追加されます。また、ガイデッドサージェリーの費用やCT撮影の費用が含まれるケースもあり、従来法と比較して5万〜15万円ほど費用が上乗せされる場合があります。

ただし、通院回数の減少により交通費や休業コストが抑えられる面もあるため、トータルの費用対効果は一概にどちらが高いとは言えません。費用の詳細は次のセクションで解説します。


即時荷重インプラントの費用相場

インプラント治療の検討で最大の関心事となるのが費用です。ここでは即時荷重にかかる費用の目安と、従来法との差、トータルコストの考え方を整理します。

1本あたりの費用目安と内訳

即時荷重を含むインプラント治療は原則として保険適用外の自由診療であり、全額自己負担となります。1本あたりの費用目安は**35万〜55万円程度(仮歯制作費を含む)**ですが、クリニックや使用するインプラントメーカー、地域によって大きく異なります。

即時荷重の費用には、一般的に次のような項目が含まれます。

費用項目内容
インプラント体・手術費人工歯根の埋入手術にかかる費用
仮歯(プロビジョナル)制作費当日に装着する暫定的な仮歯の費用。即時荷重で追加される項目
CT撮影・診断料骨の状態を評価する精密検査の費用
ガイデッドサージェリー費サージカルガイドを用いる場合に加算されることがある
最終上部構造(被せ物)費セラミック・ジルコニアなど最終的な被せ物の費用

上記はあくまで一般的な内訳であり、料金体系はクリニックによって異なります。カウンセリング時に総額の見積もりを確認することが大切です。

従来法とのトータルコストの考え方

即時荷重は仮歯制作費などが上乗せされるため、手術費用の総額だけを見ると従来法よりやや割高になりがちです。一方で、通院回数が少なく済むため、交通費や仕事を休むコスト(休業コスト)が抑えられるという側面もあります。

したがって「手術費だけ」で比較するのではなく、通院にかかる時間や費用も含めたトータルコストで考えることが重要です。費用の全体像・相場・節約方法については「インプラント費用ガイド|1本あたりの相場と節約法」で詳しく解説しています。

負担を軽減する制度

自由診療であっても、医療費控除(1年間に一定額を超えて支払った医療費が対象となる確定申告での税還付制度)や、デンタルローン(歯科治療専用の分割払い制度)を活用することで、実質的な負担を軽減できる場合があります。


即時荷重が適応になる条件

即時荷重を安全に行うためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。CT検査や全身状態の評価を通じて、以下の条件を満たすかどうかを歯科医師が総合的に判断します。

インプラント初期固定値35Ncmを測定する仕組みと骨内固定を示した断面イラスト

条件一覧テーブル

条件項目基準・目安理由
骨の量(骨幅・骨高さ)骨幅6mm以上、骨高さ10mm以上(目安)インプラント体を十分に包み込む骨量がないと初期固定が得られない
初期固定値(埋入トルク値)35Ncm(ニュートンセンチメートル)以上仮歯を支えるために十分な固定力が必要。術中にトルクレンチで測定する
骨密度D1〜D3(高〜中密度)骨密度が極端に低い(D4)場合は、骨結合に時間がかかり即時荷重に不向き
喫煙の有無非喫煙者が望ましい喫煙は血流を阻害し、骨結合を遅らせるため、脱落リスクが高まる
全身疾患コントロール良好またはなし糖尿病、重度の骨粗しょう症、免疫疾患がある場合は慎重な判断が必要
歯ぎしり・食いしばりなしが望ましい仮歯に過度な力がかかり、インプラント体の脱落リスクが高まる
口腔衛生状態良好歯周病が進行している場合は、感染リスクが高まるため事前の治療が必要
噛み合わせ大きな不正咬合がないこと対合歯(反対側の歯)との噛み合わせが不安定だと仮歯に異常な力がかかる

骨の量が不足している場合でも、骨を増やす骨造成によって適応となる可能性があります(詳しくは「インプラントの骨造成とは?種類・費用・期間を解説」)。喫煙が骨結合に与える影響は「インプラントと喫煙・飲酒|術前後の注意点を解説」で、糖尿病など持病がある方の注意点は「糖尿病でもインプラントはできる?持病と治療の注意点」で詳しく解説しています。

初期固定値(トルク値)とは?

初期固定値とは、インプラント体を骨に埋入した瞬間にどれだけしっかり固定されているかを示す指標です。単位はNcm(ニュートンセンチメートル)で、数値が大きいほど強く固定されていることを意味します。

即時荷重では、一般的に35Ncm以上の初期固定値が求められます。これは、仮歯を通じて噛む力がインプラント体に伝わっても、骨から外れない(微小な動き=マイクロムーブメントを抑えられる)ための目安とされています。

初期固定値は術前のCT検査で骨密度を評価することである程度予測できますが、最終的には手術中にトルクレンチ(締め付け力を測定する工具)で実測します。

つまり、即時荷重が可能かどうかの最終判断は「手術中」に行われます。 術前の検査で即時荷重の計画を立てていても、初期固定値が基準に満たない場合は従来法に切り替えることがあります。

即時荷重に「向いている人」「向いていない人」

ここまでの適応条件を、ご自身で判断しやすいようにチェックリスト形式でまとめます。あくまで一般的な目安であり、最終的な適応判断は必ず歯科医師が行います。

即時荷重インプラントに向いている人・向いていない人を示したチェックリスト図

向いている可能性が高い人

  • 埋入部位に十分な骨の量・密度がある
  • 前歯など審美面の早期回復を重視したい
  • 通院回数を減らしたい・治療期間を短くしたい
  • 喫煙をしていない、または禁煙できる
  • 全身の健康状態が良好

慎重な判断が必要・不向きな可能性がある人

  • 骨の量や密度が不足している(骨造成が必要な場合を含む)
  • 喫煙者である
  • 歯ぎしり・食いしばりが強い
  • 糖尿病や骨粗しょう症などのコントロールが不十分
  • 重度の歯周病がある

不向きに当てはまる項目があっても、事前治療や条件の改善によって適応となる場合があります。まずはCT検査を含むカウンセリングで相談することをおすすめします。


仮歯期間の過ごし方と最終補綴への移行

即時荷重で当日に仮歯が入った後、骨結合が完了して最終的な被せ物に交換するまでの2〜4か月程度の過ごし方が、治療の成否を左右します。この期間の注意点を整理します。

食事の注意点

仮歯期間中は、骨結合が完成していないインプラント体に過度な力をかけないことが最優先です。

  • やわらかい食事を中心にする:おかゆ、うどん、煮込み料理、豆腐、卵料理など
  • 硬いもの・粘着性のあるものを避ける:せんべい、ナッツ、硬い肉、フランスパン、キャラメル、ガムなど
  • 仮歯側で強く噛まない:反対側の歯を使うなど、力のかけ方に配慮する

食事の具体的な工夫は「インプラント手術後の食事|いつから何を食べられる?」も参考になります。

清掃・セルフケアの注意点

仮歯まわりを清潔に保つことは、感染やインプラント周囲炎を防ぐうえで重要です。歯科医師・歯科衛生士の指示に従い、やさしいブラッシングや推奨された清掃用具でのケアを続けます。日々のケアの考え方は「インプラントのメンテナンス|頻度・費用・自宅ケアを解説」で解説しています。

術後の腫れ・痛みと当日〜数日の過ごし方

外科手術である以上、術後に痛み・腫れ・出血が生じる可能性があります。一般的には、処方された痛み止めの服用、患部を刺激しない、飲酒・喫煙・激しい運動・長風呂を控えるといった配慮が求められます。腫れや痛みの程度、対処の詳細は「インプラントは痛い?術中・術後の痛みと麻酔法を解説」をご確認ください。異常な痛みや腫れ、仮歯のぐらつきを感じた場合は、自己判断せず速やかに担当医に相談してください。

万一、仮歯が外れた・インプラントが脱落した場合

骨結合の途中でインプラント体が脱落した場合は、いったん除去し、骨の回復を待ってから**再埋入(リカバリー)**を検討するのが一般的です。再治療の可否や時期は、脱落した原因や骨の状態によって異なります。再治療の流れや費用については「インプラントの再治療|やり直しの流れと費用を解説」で解説しています。仮歯が外れた・欠けた場合は、そのまま噛まずに早めに歯科医院へ連絡しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 即時荷重の仮歯で硬い食べ物は噛めますか?

A: 即時荷重で装着する仮歯は暫定的なもので、骨結合が完了するまでの間はインプラント体を保護する役割も担っています。そのため、硬いもの(せんべい、ナッツ、硬い肉など)は避け、やわらかい食事を中心にすることが推奨されます。骨結合が完了し、最終的な被せ物(セラミックやジルコニアなど)に交換した後は、通常の食事が可能になります。一般的に仮歯で過ごす期間は2〜4か月程度です。

Q2. 即時荷重は前歯にも奥歯にも対応できますか?

A: 前歯・奥歯ともに即時荷重が可能なケースはありますが、奥歯のほうが難易度は高い傾向にあります。奥歯は噛む力が前歯の2〜3倍強いため、インプラント体にかかる負担が大きくなります。そのため、奥歯での即時荷重にはより高い初期固定値と骨密度が求められます。前歯は審美面での恩恵が大きく、かつ噛む力が小さいため、即時荷重が適用しやすいケースが多いです。前歯・奥歯の治療の違いは「インプラント|前歯と奥歯の違い・注意点を解説」も参考になります。

Q3. 即時荷重と従来法でインプラントの成功率に差はありますか?

A: 適応条件を満たしたケースに限れば、即時荷重と従来法の長期的な成功率(生存率)に大きな差はないとする研究報告があります。コクランレビューでは、即時荷重と従来法(早期荷重・待時荷重)の間にインプラント生存率の統計的有意差は認められなかったと報告されています[1]。また、システマティックレビューでも即時荷重の高い生存率が報告されています[2]。ただし、これらは適切な症例選択と初期固定が得られた条件下での結果であり、適応外の症例に無理に即時荷重を行えば脱落リスクが高まります。歯科医師による正確な診断と判断が不可欠です。

Q4. 即時荷重はどのクリニックでも受けられますか?

A: すべてのクリニックで即時荷重に対応しているわけではありません。即時荷重を安全に行うには、歯科用CT・ガイデッドサージェリーの設備・即時荷重に対応した技工体制が必要です。加えて、歯科医師に即時荷重の十分な実績と経験が求められます。クリニックを選ぶ際は、即時荷重の症例実績やCT・ガイデッドサージェリーの対応状況を確認することが大切です。クリニック選びの詳細は「インプラント歯科の選び方ガイド」で解説しています。

Q5. 即時荷重のインプラント治療は保険適用ですか?

A: インプラント治療は原則として保険適用外の自由診療です。即時荷重も同様で、全額自己負担となります。1本あたりの費用目安は35万〜55万円程度(仮歯制作費含む)ですが、クリニックや使用するインプラントメーカーによって異なります。医療費控除(確定申告による税還付制度)やデンタルローン(歯科治療専用の分割払い制度)を活用することで実質的な負担を軽減できる場合があります。費用の詳細は「インプラント費用ガイド|1本あたりの相場と節約法」をご覧ください。


まとめ:即時荷重の適応判断はCT検査が出発点

インプラント即時荷重について、本記事のポイントをまとめます。

  • 即時荷重とは:インプラント埋入後48時間以内に仮歯を装着する方法。「即日インプラント」「ワンデーインプラント」とも呼ばれる
  • 従来法との違い:手術当日に仮歯が入り、歯がない期間がほぼゼロ。治療期間は3〜5か月に短縮。ただし当日はやわらかい食事が中心
  • 3つのバリエーション:抜歯即時埋入+即時荷重、フラップレス手術+即時荷重、All-on-4即時荷重
  • メリット:即日仮歯、治療期間短縮、手術回数削減、歯茎のコンディショニング、QOL維持
  • デメリット・リスク:脱落リスク、厳しい適応条件、高度な技術と設備の必要性、費用がやや割高
  • 費用の目安:1本あたり35万〜55万円程度(仮歯制作費含む)。従来法より5万〜15万円ほど上乗せされることがある
  • 適応条件:十分な骨量、初期固定値35Ncm以上、非喫煙者、全身疾患のコントロール良好

即時荷重が可能かどうかは、CT検査で骨の量・密度を精密に評価した上で、歯科医師が総合的に判断します。まずはカウンセリングでCT検査を受け、ご自身が即時荷重の適応になるかどうかを確認してみてはいかがでしょうか。

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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療上の助言を行うものではありません。即時荷重の適応可否や治療結果には個人差があり、本記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。インプラント治療は保険適用外の自由診療であり、外科手術を伴うため術後に痛み・腫れ・出血が生じる可能性があります。治療費用はクリニックにより異なります。具体的な治療計画や適応については、歯科医院にて直接ご相談ください。

2026年3月12日時点の情報に基づいています。

〈本記事について〉
本記事は、公表されているシステマティックレビュー・コクランレビュー等の学術文献(末尾の参考文献を参照)および一般的な臨床知見をもとに、かがやきインプラント編集部が構成・執筆しています。本文中の初期固定値(35Ncm)や骨量の目安などの数値は一般的な目安として広く用いられている値であり、実際の適応基準はクリニックや症例によって異なります。即時荷重の適応可否・費用・治療計画は、必ず担当の歯科医院にご確認ください。

参考文献

  1. Esposito M, Grusovin MG, Maghaireh H, Worthington HV. Interventions for replacing missing teeth: different times for loading dental implants. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 3. Art. No.: CD003878.
  2. Sanz-Sánchez I, Sanz-Martín I, Figuero E, Sanz M. Clinical efficacy of immediate implant loading protocols compared to conventional loading depending on the type of the restoration: a systematic review. Clinical Oral Implants Research 2015;26(8):964-982.

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